減給措置

Q: 成績不良者の給与を10%減額することを提案しましたが、同意してくれません。減額を強行すると、労働基準法違反になりますか。就業規則に減額の規定はありません。 

A: 労働基準法違反にはなりません。しかし減額が無効となる可能性があります。

 労働基準法では約束した給与を全額支払わなければならない、すなわち全額支給の原則があります。成績が不良だとしても、約束した給与を突然減額したときは労働基準法違反となります。

お問い合わせのケースでは、減額を提案して同意がないとのことですので、減額の辞令を発して、その後の勤務に対して減額することは人事権の発動なので労働基準法違反を問われることはありません。

ところが、労働契約法第8条に、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」との規定があることはご存知かと思います。「変更することができる。」とありますが、反対解釈として「同意がなければ、変更することができない」と読みます。つまり、同意がない減額は無効となる可能性があるということです。この減額は労働基準法の適用外ですので、有効か無効かを判断するのは労働基準監督署ではありません。裁判所です。就業規則に減額の規定がないと、減額をする根拠がないこととなり、裁判となると無効となって負ける可能性が大きいと言わざるを得ません。無効となると、減額差額や慰謝料等の支払いを命じられる恐れがあります。

今後のことを含めて、就業規則の見直しを行い、不備があれば整備することをお勧めします。

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