6月号 休業下の標準報酬月額の決め方

2020年6月(第133号)

今年の算定基礎届の算定期間に新型コロナウイルスの影響で休業とした会社も少なからずあります。このケースでの標準報酬月額の決め方は通常と異なります。今回は、休業期間を含む標準報酬月額の決め方を紹介します。

 標準報酬月額とは 

健康保険・厚生年金保険の毎月の保険料は、報酬額を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額に保険料率を掛けて算出します。この標準報酬月額は実際の給与額から大きく乖離しないような種々の工夫がなされています。
標準報酬月額の決め方は、主に①資格取得時、②定期決定、③随時改正の3通りがあります。①の資格所得時には雇用契約に基づいた各種手当や残業手当を含めた報酬の見込み額で決めます。他の②~④では改正時前3ヶ月の給与実績に基づいて決めることになります。

 休業手当の取り扱い原則 

社会保険では報酬とは労働の対償として受ける全てのものと規定しており、直接の労働の対価ではない休業手当も報酬として取り扱っています。従って休業手当が支払われた日は給与計算の算定基礎日数に入れられることになります。
とはいえ、通常時よりも低額の休業手当が支払われたときは通常時の報酬額とは異なるので、標準報酬月額の決め方も自ずと異なってきます。以下では休業手当は通常報酬額よりも低額であるケースを前提とします。

 定時決定時の休業手当の取り扱い 

定時決定は4~6月に支払われた報酬額の平均から標準報酬月額を決定するものですが、改正月の9月以降の報酬額を適切に反映するために次のような取り扱いがされています。
1)7月1日現在で休業状態が解消:4~6月で休業手当を含んでいない月があるときは、その月だけの平均で決定する。3ヶ月ともに休業手当を含んでいるときは、休業手当等を含まないで決められた直近の標準報酬月額を以って決定する。
2)7月1日現在で休業状態が継続:4~6月の報酬額の平均で決定する。
 随時改正時の休業手当の取り扱い 
休業手当の支払いを固定的賃金の変動とみなして随時改正の判断対象とすることがあります。
1)休業手当を含んだ報酬が3ヶ月を超えて支払われたときは、休業に入った月に固定的賃金が減額されたとみなして改正を判断します。逆に、休業状態が解消されたときは増額とみなし、その月を起点として改正を判断します。
2)休業手当を含んだ報酬額を基に定時決定された標準報酬月額は通常よりも低く設定されています。休業状態が解消されると給与額との乖離が大きくなることがあります。このときは休業状態が解消された月に固定的な報酬額が増額になったとみなして改正を判断します。
3)休業状態の間に定期昇給があっても定期昇給の効果が正確に報酬額に反映されません。このときは、休業が解消された月を起点として改正を判断します。

 まとめ 

標準報酬月額の算定は、月々の保険料の支払いだけでなく将来の年金額に関わり重要です。ここに例示した他にも種々のケースが考えられます。疑問が生じたときは、年金事務所等に問い合わせをして完璧を期すことが肝要です。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。