2014年3月(第58号)
求人倍率の上昇が続いているためもあり、業界・業種によっては求人に対して応募が全くないという状況が生まれています。人材確保のキーワードとして以前から「女性と高齢者の活用」が言われていますが、そこに「中途退職者」を加える動きが増えています。今回は、中途退職者の再雇用制度を紹介します。
中途退職者の再雇用制度とは
文字通り、中途で退職した者を積極的に再雇用する制度です。若くして社会を知らないが故に他が魅力的に見えて転職した者、子育てや家庭の都合で離職した者、独立や家業のために離職した者、ボランティア活動で離職した者、等々離職した理由は様々です。ところが離職後に元に戻りたいと思っても、辞めた会社への再就職は敷居が高いものです。この敷居を低くして、再就職をし易くする仕組みが中途退職者の再雇用制度です。
目的は、即戦力人材の確保です。
メリットとデメリット
既に、業務内容、顧客の特性、会社事情・社風に精通した者を採用することになりますので、①ミスマッチの回避、②ベテラン社員の確保、③採用費用の削減、④教育費用の削減のように多くのメリットがあります。
反面、デメリットもあります。その1つが、在籍者との処遇面の不満です。在籍者はずっと頑張って会社を支えてきたと自尊心があります。一度退職した者の処遇とのアンバランスがあると感情的な摩擦が生じることは容易に予想されます。
一方で再入社者は、他の会社で会得した技術や能力あるとのと自負があり、それに見合った待遇を当然と考えるでしょう。特に再入社者が離職前に先輩であるときには、後輩よりも待遇が悪ければ、感情的なしこりを残します。
再雇用制度導入への課題
中途退職者の再雇用制度は、メリットを残し、デメリットを極力少なくするように制度化する必要があります。そのためには、在籍者と再就職者の両者に対する能力評価を適切にすること、能力に見合った適材適所への配置および待遇を行うことが大事です。
それと同時に、会社の魅力を高める努力、社員を大切にする会社であることのアピールを不断に行うことも必要です。会社の魅力が高ければ、中途退職者の再入社を自然に促すことになります。
再雇用制度導入の導入手順および運用
導入手順としては、①規程の制定、②該当者への通知、③応募者の選定、の順で行います。①の規程には、最低限として、
a.目的
b.応募者の資格要件
c.再雇用時の手続きと選考方法
d.再雇用時の契約形態や処遇
e.再雇用後の労働条件
等を規定することになります。
規程が制定できたならば、応募者を募ります。退職者の名簿から応募者の資格要件を充たす者に、制度の概要とともに応募への誘い文を送ります。
退職者は、退職者の事情がありますので直ぐに誘いに応じることは出来ません。退職者の事情が変化したときに直ぐに応募が出来るようにしておくことが大事です。そのために年賀や暑中見舞いを兼ねて年に2回ほどは会社の状況報告を送り、連絡を絶やさないようにします。