療養費

2021年 1月

Q: 退職した社員から電話があり、全国健康保険協会より本人宛に返納金の支払い請求と振込用紙が届いたと言われました。どうしたらよいでしょか。

A: 無効となった保険証を使用したための返納金です。通常は本人が一旦返納金を納め、その後に療養費を請求することになります。

会社として念のために次の確認をしておきます。
?    社会保険資格喪失届の喪失日と実際の退職日の整合性

もし、実際の退職日より喪失日の方が早くなっていたならば、無効保険証を使ったとみなされて請求されたことになります。会社として速やかに喪失日の訂正を行い、その旨を健康保険協会に連絡します。

喪失日と実際の退職日に矛盾がないときは、本人が退職後に保険証を使用したことが返納金請求の理由です。社員によっては、退職しても月末までは保険証が使用できると勘違いしている人がおります。このケースでは、会社がすることはありません。本人が、返納金を健康保険協会に納めます。
日本は国民皆保険制度を採っていますので、退職後に就職していなくても国民健康保険か被扶養者として健康保険に加入しています。返納金として納めた金額は、退職後に加入した新しい健康保険から療養費として請求できます。

ここで療養費について説明しておきます。
健康保険では、医療機関の窓口に保険証を提示して診療を受ける『現物給付』が原則です。しかし、やむを得ない事情により自費で受診したときは、その費用について療養費が支給されます。よくあるのは入社間もなく保険証が手元に届く前や海外で治療を受けたときです。
今回は無効の保険証を用いて診療を受け、通常の3割は窓口で支払いました。残り7割は返納金として納め、結局は自費で受診したと同じ形になりました。

返納金を収めたときに領収書が発行されますので、これを支給申請書に添付して療養費を請求します。健康組合により支給申請書の形式や申請方法が異なることがありますので、新しい健康組合に確認してから申請するようにします。

無効保険証を使用したことに対する処理は面倒なので、退職後速やかに保険証を回収することが本人のためになります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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