11月号 仕事と治療の両立支援

2017年11月(第102号)

仕事と家庭の両立、仕事と介護の両立、仕事と育児の両立と、両立の言葉を多くの場面で聞くようになりました。今回は、仕事と治療の両立について考えてみます。

両立支援の背景

国民の二人に一人ががんに罹る時代ですが、医学の進歩により生存率が向上し、「不治の病」が「長く付き合う病気」に変化してきました。このような中で、多くの会社で社員ががん等の病気に罹った時の雇用管理上の問題に苦慮しているのが現状です。一方で、仕事をしながら治療を続けることに困難さを感じて離職する社員の例も多くみられます。仕事と治療の両立支援は、このような会社と社員の両方にメリットがあります。

両立支援の意義

会社が両立支援体制を整備し、運用することによるメリットは社員の健康確保はもちろん、その他にもあります。その一つが継続的な人材確保です。人材難の中で、会社が長い年月を掛けて育成してきた社員を治療のために失ってしまうことは大きな損失です。二つ目は、社員に対する安心感の醸成、モチベーションの向上です。病に罹ることイコール即退職ならば、社員は会社に「使い捨てされる」との思いに駆られます。そのような思いを抱えたままでよい仕事を期待することは困難です。反対に、安心して治療ができる環境であることが分かれば、生産性の向上、人材の定着が期待できます。

支援の具体的な方法

入院等により就業できないケースと通院等の時間が必要となるケースがあります。
前者では、①休職制度、②休業中の収入確保のために傷病手当金や障害年金等の説明・手続き、③高額医療制度の説明、④休業中の定期的な連絡方法、⑤職場復帰手順等を整備することになります。⑤には試し出勤制度等を取り入れるところもあります。
後者では、①時差出勤制度、②有給休暇の時間単位付与、③フレックスタイム、④在宅勤務(テレワーク)、②短時間正社員等の制度を整備することになります。

両立支援導入時の配慮事項

最も大事なことは、無理をしないで導入できる制度とすることです。規模の大きくない会社が、大企業と同様の制度を導入しようとしたら無理になります。反対に、規模が大きくないからと先入観で制度を導入することはできないと判断することも間違いです。完璧を求めない、小さく生んで、大きく育てる発想も大事です。
そのうえで、①両立支援に対する基本方針の表明と周知、②研修等による意識啓発、③相談窓口の明確化を行います。
仕事と治療の両立は、育児や介護の両立と違って、時間的制約の他に、本人に体力的・精神的な重圧が加わります。たとえ職場復帰や出勤したとしても従前のように100%の能力を発揮できないことがあります。不足した部分を残った社員が補う必要がありますので、社長や上司はもちろん同僚、部下等の職場全体の理解があって初めて機能します。研修等による啓発活動が重要な意味を持つのはこのためです。「困った時はお互い様」の精神が、仕事と治療の両立支援を支えます。

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