2025年 3月(第190号)
今月の事務所通信では、「AIと雇用」と題して、AIの雇用に与える影響について考察してみました。2002年11月の生成AIであるChatGPTの発表以来、次々とAIアプリが発表されてきました。間違いが多いとか、プライバシーを侵害するとかの負の側面が報道されていますが、それでもAIの進展は確実で、これを無視して経営を行うことは大きなリスクになります。
今回の考察はほんの一側面を紹介したものです。目的にもよりますが、多くのAIアプリの普及により導入のハードルがかなり低くなっているものもあります。大げさに考えずに出来るところからまず始めることが正解の様です。
2022年秋のOpenAI社のChatGPT発表以降、AIの利用が一気に身近なものになりました。今後3-5年で予想されるAIの雇用への影響を経営者の視点から考察してみます。
業務効率化による生産性向上
AIツールの導入により、次のような定型業務の自動化が可能になります。
- 請求書作成や経理処理
- 顧客対応(チャットボットの活用)
- スケジュール管理
限られた人員でより多くの業務をこなせるようになり生産性が向上します。同時に次のようなコスト削減が期待できます。
- 外注業務の内製化
- 人的ミスの減少
- 在庫管理の最適化
新規事業の展開
AIの活用で、次のような新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。
- データ分析に基づく顧客ニーズの発見
- AIをかつを活用した新サービスの開発
- 地域・業界に特化した解決策の提供
小規模な会社ならではの機動力を活かし、これらの機会を素早く捉えることが重要です。
人材育成
AIの導入に伴い、次のような社員のスキルアップを図ることが不可欠です。
- AIツールの操作スキル
- データ分析能力
- AIと協働するためのコミュニケーション能力
経営者自身も含め、計画的な学習機会の提供が求められます。
雇用形態の多様化
AIの活用で、次のような雇用形態の変化が予想されます。
- リモートワークの増加
- フリーランスの活用
- 兼業・副業人材の活用
柔軟な雇用形態を取り入れることで、小規模な会社でも優秀な人材を確保しやすくなります。
人にしかできない業務への注力
AIが定型業務を担うことで、人は次のような創造的な業務に集中できるようになります。
- 顧客との深い関係構築
- 商品・サービスの企画開発
- 地域社会との連携強化
小規模の会社の強みである「人間味」を活かした経営がより重要になるでしょう。人と人の「共感」を築けるのは「人間味」だけです。
まとめ
AIの進展は、小規模な会社にとっても大きなチャンスです。効率化によるコスト削減、新規事業の展開、柔軟な人材活用など様々な可能性が広がります。
AIを「脅威」ではなく「味方」として捉え、積極的に活用していく姿勢が求められます。自社の強みを活かしつつ、AIとの共存を図ることで小規模な会社ならではの競争力を築くことができるでしょう。変化の波に乗り遅れないように、出来るところから準備を始めることが未来の成功への第一歩となります。