報酬月額の不正届け

労働保険の年度更新時期が今年から一月間以上遅くなったので、更新手続きが終わらない内に健康保険・厚生年金保険の報酬月額算定基礎届に手をつけなくてはならない羽目になってしまった。楽あれば苦ありとはよく言ったものだ。

ここ数年、報酬月額を恣意的に低い届けをして、保険料を安く抑えた事例が多く報道された。若い人にとって年金を貰うのは遠い先の話だから切実でなかったが、若者も時とともに歳をとるから他人ごとで済まされないはずだ。先日、相談を受けた会社の場合はこうだ。若い社長さんが一人で起業した会社は順調に発展し、一人ふたりと人を雇用していった。10年ほど前に社員も多くなったので、社会保険に入ろうとしたが保険料が高い。ついつい報酬月額を低く抑えて届けをして、労使ともにその差額を節約した。社長の話では、社員は納得していたという。ところが先日、一人の社員が社会保険事務所に報酬月額が不当に低いと申し出たらしい。

以前であれば、正確には平成19年に厚生年金特例法が施行される前であれば、上のケースは2年間の時効が成立しているから打つ手はないと突き放されたケースでした。厚生年金特例法が施行された後は、時効が成立された案件であっても、第3者委員会が「年金記録の訂正が妥当である」と結論付ければ遡って年金記録が改正されることになった。また社員から保険料を徴収し、会社が保険料を納める義務を果たしていなければ、社会保険庁がその間の保険料を納めるよう勧奨を行い、それでも納めないときは事業主名等を公表する制度となった。相談者のケースが今後どのような推移を辿るか推測の域を出ません。が、「年金記録の訂正は不必要」との結論が出るとしても、調査に応じるためのエネルギー、社員との軋轢等を考慮すると、まさに浅はかなことをしてしまった悔やんでいるに違いありません。

算定基礎届けの書類を作りながら、この事例を思い出します。社会保険労務士が関与する意義とは、会社が不正に手を染める誘惑に落ち込まないよう社長さんの良きアドバイザー、お目付け役としての機能を果たすことと改めて噛み締めた次第です。

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