5月号 バックレの労働法

社員がちょっとしたきっかけで無断欠勤、それに続いて来なくなってしまったという話を聞きます。そんな行為をバックレと言うらしいのですが、今回はこのバックレの労働法上の問題を中心に取り上げます。

給料の支払い

例えバックレされたとしても、それまで働いた給料を支払わなくても良いというものではありません。無断欠勤にペナルティつまり罰金を科すことはできますが、罰金額には労働基準法で上限が定められています。給料の全額を罰金として、一銭も払わないことは許されません。

会社が被った損害に対して、損害賠償を請求することはできます。ただし損害賠償金を勝手に給料から天引きすることは、給料の全額払いの原則に抵触するので、これも許されません。

支払い方法は、たとえ支払いが銀行振り込みであったとしても、現金手渡しを選択できます。本人は顔を合わせるのが嫌で「何時いつまでに銀行振り込みしてくれ」と請求したとしても、「給料を手渡しするから」と来社を促すだけで十分です。もしも2年間が過ぎたら時効により支払いを拒否しても、このときは違反にはなりません。

雇用の継続

バックレだけで雇用関係が終了するものではありません。雇用関係が継続しているのですから、社会保険に加入しているときは、結果として毎月の保険料の支払い義務はそのまま残ります。勝手に資格喪失手続きを執ってしまうことは後々の問題につながります。

バックレは自然退職に

無断欠勤が続いたときの措置を雇用契約あるいは就業規則で明確にしておくことは必須です。就業規則に「無断欠勤が○○日間続いたときは解雇とする」と規定している例がありますが、これは難しい規定です。解雇は本人に会社の意思を伝えて初めて有効です。行方が分からない者に意思を伝えることが困難です。裁判所の力を借りて、公示送達により法律上の意思を伝えることはできますが、手間とお金が掛ります。それに解雇予告手当の請求や不当解雇の恐れがあります。

ここは「無断欠勤が○○日間続いたときは自然退職とする」旨の規定しておくことが無難です。解雇ではないので争われる余地が狭まります。

復職の請求

何の措置もしていないと、半年もたってから、「自分は会社を辞めていないのだから、またここで働く」と復職を求めてくることだってありえます。既に後任を採用した、復職しても与える仕事がない、とはいえ辞めさせることもできないので、結局はお荷物を抱える羽目になります。

採用時の見極め法

バックレに対処するには、就業規則の制定、働きやすい職場環境の整備、社員教育が必要です。更に重要なのが採用時の人の見極めです。採用面接に加えて適性検査を実施して、性格や業務への向き・不向き、会社への定着性を見極めようとしている会社が増えています。

今回は、労働法の規定を中心にバックレにまつわる問題点を紹介しました。

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