個人事業として深谷市と熊谷市で経営している保育園の園長から退職金の相談を受けていました。保育園は典型的な人手不足が続いている業種です。優秀な保育士を確保するには条件を上げなければなりませんが、給与を大幅に上げることは困難です。そこで、比較的負担が少なく、見栄えのある制度として中小企業退職金共済に加入することにしました。
この制度の導入を支援するために、補助制度を設けている市町村があります。熊谷市もその一つです。
園長は市の担当者から、「職員が5名を超えたときは補助の対象から外れます」と言われ、その理由と対処法を当方に問い合わせてきました。
熊谷市の補助対象は、
① 常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業については5人)以下の事業主
② 市内に工場、店舗又は事業所等を有し、1年以上の事業実績のあるもので、かつ市税を完納している事業所
となっています。
熊谷市にある園は職員が4名です。深谷市の方は、正職員とパート職員を合わせて9名です。
・保育園は日本産業分類では医療・福祉となっており、商業またはサービス業には分類されていない
・補助は、熊谷市にある園に支給されるのだから、深谷の職員は関係ない
そう勝手に解釈し、どう転んでも対象になるだろうと楽観していました。
ところが、中小企業退職金共済事業本部によると、医療・福祉はサービス業に分類される。
また、熊谷市の補助対象は小規模事業者に限られ、事業規模で対象か否かを判断するので、熊谷市に限れば5人以下だとしても、事業主が常時雇用する従業員総数が5人を上回るため、対象外とされました。
市のルールがそのようになっているならば、反論の余地はありません。
園長にその旨を説明し、補助金の受給を諦めて貰ったところです。