6月号 電力需給調整のための労働日時変更

東日本大震災後の計画停電は寒さが和らぐとともに実質上解除されました。6月に入り、ひとたび真夏日に襲われると、東京電力管内の電力消費量は供給に対して簡単に90%を超えてしましました。これから迎える7月、8月の盛夏に向けて、またしても「停電」の悪夢が蘇りそうです。

電力の需給を改善するためには、電力消費量を抑える節電とともに、消費量ピークをカットする、消費時期の分散が有効です。このために土曜日、日曜日や深夜に労働をシフトする必要がありますが、このときの労働法上の問題点および解決法を整理してみます。

土日を労働日にするとき

土日が休みの会社が、平日の2日間を休みにして、土日を労働日とすることは、所定労働日の変更です。変更には労働契約法第8条により社員との合意が必要になります。ただし、「業務の都合により、労働日の変更を命じることができる」旨が雇用契約書または就業規則に規定されているときは、無条件で変更することができます。週に一回以上の休日が確保されていますので、35%増の休日手当の支給は法的に義務ではありません。

深夜へのシフトでは、25%増の深夜割増手当が必要になります。

合意ができないとき

上の「業務の都合により、・・・ができる」が何処にも規定されていないときは、社員との合意が必要であることは既に触れました。合意ができないときは、就業規則を改正することになります。労働契約法第9条により、合意なしに社員に不利益となる就業規則の変更はできません。これが原則です。この条項には、「ただし書き」があり、ある条件の下では、合意ができなくても就業規則の変更が認められています。この条件とは、変更の周知、不利益の程度、必要性、変更内容の相当性、交渉の状況、その他の就業規則の変更に係る事情に合理性があることです。電力の需給調整のためとの事情に照らすと、多くのケースで就業規則の変更は法的に「認められる」と考えられます。

1年単位の変形労働制の変更

変形労働制はもともと社員に強い負担を強いていますので、要件の厳しい制度です。特に、1年単位の変形労働制は、導入すると期の途中での変更が一切認められていませんでした。ところが、政府は電力の需給調整の必要性から5月に特例を発表しました。これによると労使協定により変形期間途中での労働日、労働時間の変更や、合意による労使協定の途中解約が可能となっています。

会社一丸となること

この他の電力消費量ピークのカット法として、サマータイムの導入、長期夏季休暇の導入、お盆期以外の夏季休暇の付与、年次有給休暇の計画的付与等も検討に値します。いずれの方法を採るにしても、社員全員の納得と協力を得ることが大切です。社員一人ひとりの意見、不都合の度合いを考慮して会社一丸となれる方法、施策が求められています。

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