労災隠し

Q: 社員が業務時間中に手に傷を負いました。病院で治療を受けましたが、治療費は会社が払い、労災保険を使いませんでした。労災隠しになるでしょうか。

A: 労災保険を使わないことが労災隠しではありません。

労働基準法では社員が業務上のケガや病気になったときに、その治療費や療養のために休んだ日の補償(休業補償)は会社の責務と定められています。しかしながら、ケガや病気の状況によっては治療費や補償が高額になることがあります。そのとき会社に支払い余力がないと最悪のケース、会社は倒産に追い込まれます。そうなると、労災にあった社員はもとより、他の社員も経営者も困ることになります。
そこで、業務上災害の治療費や休業補償費を会社の代わっては支払う制度として整備されたのが労災保険です。ですから労災保険を使わなかったとしても何ら違法にはなりません。
労災隠しとは、労働安全衛生法で定められた1日以上の休業となる労災時に死傷病報告をしなかったときの罪状です。労働安全衛生法では、4日以上の休業を伴う労災が発生したときは速やかに、1~3日の休業のときは、3 ヶ月ごとに、その事実を死傷病報告書に記載して提出することが決められています。
今回のケガで会社を休まなかったときは、死傷病報告書の提出義務は課せられていませんので労災隠しにはなりません。もし休業しているならば、休業日数に応じて適時に死傷病報告書を提出することになります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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