退職後の賞与と保険料控除

Q: 退職後の賞与支払について教えてください。5月31日に退職した社員に会社の給与規程により、6月30日に賞与が支給されます。その際、社会保険料控除や賞与支払届の提出は必要ですか。

A: このケースでは、社会保険料の控除も賞与支払い届も不要です。

健康保険法第百五十六条  前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しない。

この条項により、相談のケースでは5月31日に退職したので喪失月は6月となり、6月30日に支給された賞与から保険料を算定することはありません。

相談のケースではありませんが厄介になるのが、月の途中で退職し同じ月に賞与が支払われたたケースです。

次の2つのケースが考えられます。
  ① 退職以前に賞与が支払われたケース
  ② 退職後に賞与が支払われたケース

 

①のケースは、被保険者のときに賞与が支払われています。よって賞与支払い届を提出しなければなりません。

健康保険法施行規則第二十七条  被保険者の賞与額に関する法第四十八条の規定による届出は、賞与を支払った日から五日以内に、様式第六号による健康保険被保険者賞与支払届を機構又は健康保険組合に提出することによって行うものとする。

賞与支払い届は提出しますが、喪失月に支払われた賞与ですので保険料は算定しません。つまり保険料の控除は行いません。(保険料は納めませんが、賞与支払い届に記載された金額は、標準賞与額の累計額の計算および将来の厚生年金額の計算には用いられます。)

②のケースでは、保険料の控除も賞与支払い届の提出も不要です。

社会保険と異なり、雇用保険では支払いの時期に関わらず雇用保険料の控除は必要です。労働保険の年度更新時には、雇用保険料、労働保険料の算定に、労働の対象として支払うすべてのものを算定に含めることになっています。

(2025年 6月)

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