1月号 「あっせん」による紛争解決制度

会社と社員とが労働紛争に発展したときの解決のための裁判に拠らない手続きの1つとして「あっせん」制度があります。今回は、「あっせん」制度の背景、会社の立場からの特徴、進め方を中心に説明します。

制度誕生の背景

30年ぐらい前までは会社と社員の紛争と言えば、会社対労働組合の図式が一般的でした。毎年、春闘と称して多くの会社でストライキが行われていたことを覚えている方も多いでしょう。その後、労使協調路線の定着、労働組合率の低下、パートタイマーや派遣労働者等の非正規社員の増加を要因として会社対労働組合の労働紛争は減少して来ました。その一方で、会社と社員個人間の紛争(個別労働紛争と呼ぶ)は逆に増えてきました。このとき話し合いで解決ができれば良いのですが、解決できないときは裁判に判断を求める外に手段がありませんでした。裁判は、時間的、経済的に気軽に利用できるところではありません。
増え続ける個別労働紛争に対して裁判に拠らないで解決する制度として2001年10月に「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」が施行されました。労働局で行われる「あっせん」はこの法律により誕生しました。

あっせんの特徴

裁判に拠らない解決制度として誕生した「あっせん」制度ですから裁判にない特徴があります。
・法的強制力がない
「あっせん」に参加するしないをペナルティなしに自由に選ぶことができます。
?歩み寄っての解決が基本です
勝ち負けを付ける場ではありません。裁判が、判定的な解決を付ける側面が多いのに対して、「あっせん」は調整的な解決方法を取ると言われます。どちらに非があるかの判定をしないで、解決金により紛争解決を図るケースが圧倒的に多くなっています。
?安価、迅速、簡便
労働局の「あっせん」は双方共に無料です。あっせん自体は半日約2時間半で終結します。あっせん員との話し合いで進められますので、厳密な証拠や書類を必要としていません。

あっせんの進め方

埼玉労働局の「あっせん」では当日に会社と社員は別々の部屋に案内されて会場で顔を合わすことがありません。あっせん員に片方ずつが呼ばれて話を聞かれます。それを何回か繰り返して事情が分かった段階であっせん員が和解案を提示します。和解案に納得できないときは拒否することができます。和解案についても何回か調整が行われ、双方が受け入れると、そこで和解が成立します。
和解が成立すると、和解書が作成され双方が承認して終了します。この和解した内容は裁判所の判決と同じ効力があるとされています。

あっせんを申請されたら

法的強制力がありませんから、まずは参加の是非を検討します。多少でも話し合いで解決する気持ちがあれば、参加する方が得策です。参加を拒否したときは裁判を想定しなければなりません。
「あっせん」の相談や代理人の受託は、弁護士か「特定」の資格を持った社会保険労務士しかできません。社員から「あっせん」を申請されたら、まずは近くの特定社会保険労務士に相談することをお勧めします。

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