退職金は給与の後払いであるから、これからの人材流動化の時代にはそぐわないとの意見があります。事実、大手の会社で退職金を選択性として、退職金を選択しなかった社員には退職金分を上乗せした給与体系としたところがあります。もともと退職金制度は会社による熟練工の囲い込み策として生まれたと言われています。人材流動化の時代にそぐわないとは、その起源からして尤もな意見といえます。
では、大会社ではなく中小の会社にとってはどうでしょうか。筆者は中小の会社こそ退職金制度を積極的に取り入れて、活用すべきとの立場を採っています。その3大メリットとして
- 良いイメージが形成され、人材が集まる
- 人材を囲い込むことができる
- 会社への信頼感、忠誠心が醸成される
が挙げられます。一見平凡ですが、どれをとっても中小の会社が欲しいものばかりです。
退職金制度は負荷が重過ぎるとして抵抗感を示す経営者がいます。確かに、負荷はありますが、会社をより良くする為の費用と考えられるか否かは経営判断です。制度としては、国が運用する中小企業退職金共済制度(中退共制度)が利用できます。毎月の掛け金は社員ごとに設定でき、国の助成金に加えて市町村によっては自治体の補助制度が整備されているところがあります。また、掛け金は税法上全額が損金あるいは必要経費として非課税扱いになります。
就業規則との関係では、退職金制度を導入してときは、この制度を就業規則に反映させる必要があります。