2月号 改正・育児介護休業法

2025年 2月(第189号)

 今月の事務所通信では、今年4月から施行される改正育児・介護休業法について紹介しました。前回改正は令和4年と10月でしたので、それからちょうど3年になります。本改正は少子高齢化や働き方の多様化に対応するため、育児・介護と仕事の両立支援をさらに強化するものです。 特に、中小規模の会社にとっても新たな対応が必要となる部分も多くあります。就業規則(育児介護休業規程)の改正も必要です。

2025年4月と10月から施行される改正・育児介護休業法について、ポイントを紹介します。

改正の背景

令和4年の合計特殊出生率は1.20と長期的な低下傾向に歯止めが効きません。更に男性の育児参加促進や介護離職の防止、ワーク・ライフ・バランスの重視など社会的要請が高まっています。

これらの背景を踏まえ、より実効性の高い両立支援制度の整備として今回の改正に至りました。

2025年4月1日から施行内容

主な改正として次の項目があります。

  1.  子の看護休暇:対象の子の範囲を小学校に入学前から3年生修了までに拡大し、取得理由に病気・怪我や予防接種・健康診断に加えて感染症による学級閉鎖等や入園(入学)式、卒園式を追加した。名称も「子の看護等休暇」とした。
  2.  残業免除の対象拡大:3歳未満から小学校就学前の子を養育する社員に拡大した。
  3.  短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置:従来の始業時間の変更等に加えて、テレワークを代替措置のメニューに追加した。
  4.  介護休暇の要件緩和:従来は入社6ヶ月未満の社員は労使協定で除外することができたが、これが廃止された。
  5.  介護離職防止のための環境整備:介護休業等の申出が円滑に行われるため、会社に研修、相談窓口の設置、利用促進に関する 方針の周知等の措置が義務化されました。更に介護に直面した社員に対しての個別の制度の周知と利用の意向確認、直面する前の早い段階、例えば40歳時等での情報提供が義務化されました。

2025年10月1日から施行内容

10月からは、柔軟な働き方を実現するための措置や仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取と配慮が加わります。前者では、3歳から小学校就学前の子を養育する社員に対して、次の5つの中から2つ以上を選択して実施することになります。個別の周知や意向確認も求められます。

  1.  始業時刻等の変更
  2.  テレワーク等の導入
  3.  保育施設の設置運営等
  4.  新たな休暇の付与
  5.  短時間勤務制度

後者では、子が3歳になるまでの適切な時期に事情に応じた仕事と育児の両立に関する社員の意向を個別に聴取し、会社の状況に応じて適切に配慮しなければなりません。

適用するためのステップ

適切に改正・育児介護休業法の趣旨を活かすために、次のステップが考えられます。

  1.  社員のニーズの把握
  2.  柔軟な働き方のための措置の選択と導入
  3.  就業規則の改定
  4.  従業員の意見聴取と制度の周知
  5.  個別の意向確認と制度の周知

まとめ

中小規模の会社においては大企業以上に柔軟な働き方を実現するための措置を導入することが社員の離職防止やモチベーション向上につながります。改正法を活かした就業規則の整備を通じて、安心して働ける職場環境を提供して会社の持続的な成長につなげていくことが求められています。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。