賞与と傷病手当金

Q: 私傷病のために休職している社員に休業前の算定期間の成績に応じて賞与を支給します。傷病手当金は減額されるでしょうか。

A: 傷病手当金は減額されません。

傷病手当金の支給要件は、

  1. 病気や怪我で療養中であること

  2. 労務不能であること

  3. 療養のため3日間連続で休んだ上で、更に1日以上休んだこと

  4. 報酬が支給されていないこと

が全て満たされることです。

4.の要件は、法第108条(傷病手当金又は出産手当金と報酬等との調整)で次のように規定されています。

疾病にかかり、又は負傷した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、傷病手当金を支給しない。ただし、その受けることができる報酬の額が・・・少ないときは、その差額を支給する。

つまり賞与が報酬であれば、減額や不支給もあり得ることになります。

報酬・賞与に関して法第3条(定義)第5項、第6項は次のように規定しています。

5 この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。

6 この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。

年に2回あるいは3回支給される賞与は上の規定で、「3月を超える期間ごとに受けるもの」となり「報酬」になりません。よって賞与の支給を受けたからと言って傷病手当金が不支給になったり減額されたりすることはありません。

(回答:2021年 7月)

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