10月号 休職期間は2年それとも1ヶ月?

仕事柄、各社の就業規則を見せて頂くケースがあり、多くの会社で休職制度を取り入れています。休職制度は、不意の怪我や病気に罹ったときの安心感を社員に与える社員思いの良い制度です。しかし、形だけの休職制度ではトラブルの元になるケースも少なくありません。

新型うつ病の療養

H社の例です。社員は50名弱の某大手企業のグループ会社です。経営は独立していますが、CSR活動と称してグループ本部から年に一度の経営監査が実施されています。そのため、以前からあった就業規則も本部にならって改正しました。休職制度は、そのとき取り入れたものです。

Aさんは入社7年目の主任。朝起きられなくなったり、無気力になったりしました。検査した病院で「うつ病」と診断されしばらく療養することになりました。休職期間の1年半で治らないときは自然退職とする規定がありました。期間満了を間近にしてAさんは、主治医に診断を求めました。主治医の判断は、いきなりフルタイムの勤務は難しい。が、快方に向かいつつあるので、慣らし勤務を経てからの完全復職を勧めるものでした。

診断書を添えて復職を申請したAさんに、H社は復職拒否の回答をしました。未だ完治していないことが拒否の理由でした。これは表向きの理由で、実際にはAさんの療養期間中に後輩が主任の役を立派にこなしていたことがありました。Aさんが復職したとしても、今の主任を押し退けて元の職場に戻ってもらう訳にはいきません。そうかと言って、他の職場にも空きがありません。処遇に困ったH社は、完治未了を理由にAさんの排斥に動いたという訳です。

納得できないAさんは雇用契約上の地位の確認を求めて裁判で争うことにしました。

通勤途上での怪我療養

K社は社員80名ほどの製造業。私傷病の療養に対し、勤続年数に応じて6ヶ月から2年の休職期間が設けられ、通算して期間を超えると解雇する規定がありました。

Bさんは自転車で駅に向かう途中で自動車と接触。鎖骨と大腿骨を骨折する大怪我を負いました。休職期間が1年半を過ぎたころから、Bさんは2年の休職期間満了を見据えてリハビリに励み、一月弱を残して職場復帰しました。ところが会社はいきなり残業を伴う過度な仕事を与え、体調を崩して休んだところを、休職期間満了として解雇してしまいました。K社は業績が悪化していて、Bさんを整理解雇の代わりとのうわさです。Bさんはどうしても納得することができませんでした。

身の丈に合った休職制度

形だけの休職制度は逆に社員を傷付け、紛争を招いてしまします。規模の大きくない、体力の強くない会社では休職期間は長くともせいぜい1~3ヶ月でしょう。冷たいと思われるかもしれません。しかし、「体の具合がよくなったら教えて。人手が必要だったら、また来て貰うから」と声を掛けて送り出す方が、形だけの休職制度よりもずっと人間味があると言えるでしょう。

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