11月号 手当

2012年11月(第174号)

基本給の他に各種手当を支給している会社は多くあります。今回は、各種手当の目的、効果について整理してみます。

手当とは

多くの場合、基本給は学歴、勤続年数、役職や人事評価の結果を元に定められます。これに対して手当は、ある条件を満たす社員にだけに支払われる給与です。手当により基本給だけではカバーできない社員の特性に合わせた給与を支給することができます。

手当の種類

手当には法定手当と任意手当があります。

前者は時間外労働手当、法定休日労働手当、年次有給休暇手当や休業手当の様に労働基準法で定められている手当です。支払い額や支払い方法も法令で基準が定められています。

後者は会社の方針や考えに基づいて設ける手当です。これを効果別に3つに区分してみました。

  • 調整効果手当
  • 負担低減効果手当
  • モチベーション効果手当

以下、効果別に手当を整理してみます。

調整効果手当

調整には社外調整と社内調整があります。

前者は、他社のある職種の給与が高いのに、自社ではその職種だけの基本給を上げられないときに支給する手当です。資格手当が相当します。これにより求人活動を容易にしたり、離職を防止したりする効果があります。

後者は、危険や身体的・精神的に負担が大きい作業に対する手当や日祝祭日勤務に対する手当、または単身赴任者や海外勤務者に対する手当が相当します。人が嫌がる勤務や作業に対する抵抗を和らげる効果があります。

負担低減効果手当

家族構成や住居地により社員が必要とする負担は違ってきます。これらは業務や成績に関係しないので基本給に反映させることができません。通勤手当や住宅手当、扶養手当等が相当します。社員が安心して勤務する効果が期待できます。

モチベーション効果手当

成果報酬型手当と成果期待型手当があります。

前者は、売上高に応じて支給される歩合給に代表される手当です。成績優秀者に支給される社長賞なども成果報酬型手当と言えます。成果を上げることが、即手当という形で報いられることによりモチベーションを維持する効果があります。

後者は、将来の業績向上を期待して支給する手当です。業務に関連するスキル向上のためのスクールや、有資格者に支給したりする手当です。スキル向上のモチベーションを高め、会社の業績向上が期待できます。

主任手当等の役職給もモチベーション向上を期待する面があり、後者の性質を一部有します。

まとめ

手当も人事評価システムと同様に社員へのメッセージの一つです。無目的な手当は無駄であるだけでなく、会社を軽んじる意識を産みます。

手当の構成は自社のあるべき姿や時勢に照らして見直します。目的や効果のはっきりしない手当は廃止もしくは基本給に組み入れて、メッセ―ジ性のある手当体系にすることをお勧めします。

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