動態保存

(Last Updated On: 2018年11月13日)

(株)三和タジマの埼玉工場に行ってきました。埼玉社会保険労務士会の安全衛生部会が企画した催しで、安全に対する感性の醸成を目的としていました。(株)三和タジマは、平成16年3月26日の六本木ヒルズで6歳の男子が挟まれて死亡した事故の自動回転ドアを作成した会社です。このような事故を2度と起こしてはならないと、会社は事故の回転ドアを動く状態で埼玉工場内に保存しています。これを動態保存と言うようです。

どのような事故であれ、事件であれ時が経つにつれ記憶は薄れ、やがて忘れ去られていきます。永遠に記憶に留めておくことはできませんが、忘れ去ることを遅らせることはできます。同社では、3月26日を「安全を誓う日」と定めて、この日には動態保存している回転ドアの前で誓いの言葉を唱和していると言います。また、この日には、施主である六本木ヒルズの森ビル関係者も参列し、安全を誓っていると聞きました。

動態保存は勇気ある行為です。一般に事故を起こした関係者は一刻も早く証拠を消し去ろうとするのが心情です。東日本大震災で被害を受けたところでも、復興の名のもとに多くの爪痕が奇麗にされました。福島原発もできるならば今すぐにでも消し去りたい面々がいるでしょう。そのような中で、これを動態保存した(株)三和タジマと現物を提供した森ビル関係者の行為に深い感銘を覚えながら会社を後にしました。

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