3月号 労務コンプライアンス

2022年3月(154号)

会社が永続的に発展するためにはコンプライアンスが重要と言われています。今回は主として雇用・労務に関連したコンプライアンスについて紹介します。

コンプライアンスとは

法令順守と訳されていますが、単に法令を守るだけではなく、倫理や公序良俗などの社会の規範や会社の理念を遵守すること、更には社会の期待に応えることも含む広い概念です。2018年の初めに破綻した晴れ着レンタル会社「はれのひ」は、社員には給与不払い、お客さんには金銭的損害を与えました。それだけでなく成人式で着飾ることを楽しみにしていた多くの若者や親御さんの期待を裏切りました。2重3重にコンプライアンス違反を犯した会社と言えます。

労務コンプライアンス

雇用や労務に関連したコンプライアンスの違反は会社を経営する中であってはなりません。違反を承知で行った会社では救い様がありませんが、知識が乏しいために知らず知らずに違反となっている例も多々あります。最小限、次の労務コンプライアンスは必須です。

  1. 就業規則、協定等:法定通りに作成し、いつでも閲覧できるようにしておく。
  2. 雇用保険・社会保険:基準を満たす社員は希望の有無に関わらず全員加入させる。
  3. 労働時間・残業手当:労働時間を正確に把握し、必要な残業手当は支払う。
  4. 残業時間:36協定の範囲内に収める。
  5. 健康診断:所定労働時間が週30時間以上の社員には年一回の健康診断を実施する。
  6. 変形労働制:導入前に就業規則に規定する、または労使協定を締結する。
  7. ストレスチェック:50名以上の事業場では年に一回実施し、結果を労基署に届ける。
  8. ハラスメント:規定を定め、防止措置を実際に講じる。
  9. 同一労働同一賃金:正社員とパート社員で理由もなく待遇を変えない。
  10. 有給休暇:法定の日数以上を付与し、年10日以上の社員には管理簿を作成し、年に5日以上を実際に取得させる。

よくある違反事例

  • 雇用保険・社会保険加入:パート社員やアルバイトは加入しなくてもよいとの考えで加入させない、あるいは扶養に入っている社員の希望により加入させない例
  • 残業手当:固定残業手当を支払っているので労働時間の管理が甘くなったり、正確な残業手当計算を怠ったりして残業手当不足に陥っている例
  • 36協定:休日労働を含めた上限規制の導入により、忙しいときに協定違反となる例
  • 有給休暇:管理を社員任せにしているために年に5日間の有給休暇を消化させない例

まとめ

意図の有無に拘わらずコンプライアンス違反は社員のモチベーションを低下させ、業務効率を悪くしたり優秀な社員の離職を促したりします。事業を発展させるためには、経営者がコンプライアンスの重要性を認識し、強いリーダーシップを発揮することが重要です。

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