12月号 健康経営

2013年12月 (第55号)

最近になって「健康経営」の言葉をよく聞きます。中小の企業にこそ、健康経営が必要との声もあります。今回は、健康経営を紹介します。

健康経営とは

アメリカの経営学と心理学の専門家であるロバート・ローゼンが1992年ごろに提唱した概念です。社員の健康が企業の重大な資源であることを認識し、社員への健康情報の提供や健康投資を促すしくみを構築することで、生産性の低下を防ぎ、収益性を向上させる経営手法です。

20世紀の初頭にUSスチールのゲーリー会長が、安全第一(セーフティ・ファースト)を提唱して、労働災害の減少、品質の向上、生産性の向上を実現した例とよく似ています。

健康経営のメリット

上でも示したように、健康経営は、会社の生産性、収益性の向上に寄与します。会社にとって、社員が疾病で倒れることは、大きなリスクです。特に人材の層が厚くない中小の会社にとって、例えば中堅社員が長期間休業するような事態は、まさに死活問題になりかねません。

健康経営の導入により、このような不測事態に陥るリスクを低減することが出来ます。さらに、会社が社員の健康に配慮することは、快適職場の形成につながり、社員の会社に対するロイヤリティ向上、更には生産性向上につながります。

健康経営の導入例

健康経営を初めて試みる会社では、運動不足解消を目指して、ウォーキングラリーから入る例が多く見られます。費用も余りかからないで気軽に、誰でもが参加できるウォーキングラリーはファーストチョイスに最適な取り組みと言えるでしょう。

筆者の関係する会社で、次のような取り組みをしていますので紹介します。

①健康診断結果のグラフ化:定期健康診断結果が標準値の範囲にあっても、経年変化をみると徐々に異常値に近づいていることがあります。数年分の診断値をグラフ化し、直感的に傾向が把握できるようにして、予防措置につなげています。

②マッサージ費用の補助:デスクワークの多い職場では、腰や肩に疲れがたまります。マッサージ師と出張契約をして、週に数日は社内でマッサージが受けられる体制を整えています。また、社員には月毎に数枚の無料チケットを配布し、就業時間中の利用も勧めています。

③メンタルヘルス対策:メンタルヘルス不調者の増大は会社にとって悩ましいことです。そこで毎年一回社員全員を対象にストレス診断を実施しています。それと一緒に、社外の電話によるメンタルヘルス相談機関と契約して、社員が気軽に電話で心理カウンセラーに悩みを相談できる仕組みを取り入れています。

まずは取り組むこと

健康経営と大上段に構えると難しくなりますが、大切なのは、社員の健康を大事な経営資源と考えて、社員の健康につながる取り組みを出来る範囲で実行することです。上の例に挙げた会社でも、それほど多くの費用を掛けている訳ではありませんが、直接・間接の効果を実感しています。

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