9月号 労働基準監督署による監督調査

2017年9月(第100号)

労働基準監督官には、労働基準法等の労働法規を会社に順守させるために、会社を往訪し、書類の提出を求め、又は尋問をする権限が与えられています。これを監督調査と言います。今回は、監督調査についてまとめてみました。

監督調査の種類

監督調査には、①定期監督、②申告監督、③再監督、④災害時監督、⑤司法警察監督の5種類があります。①と②は後述しますが、③の再監督とは、是正勧告を受けた会社を対象に、その後の実施状況を確認するための検査です。④の災害時監督は、労働災害の発生原因と再発防止のための調査です。⑤の司法警察監督は、是正勧告を受けた会社が一向にそれに応じないときに、書類送検手続きのための調査です。是正勧告は行政指導ですので、それに従う義務はありませんが、従わない根拠がないときには違反の事実が残ります。これが悪質と判断されると逮捕や検察庁に対して書類送検手続きが取られることになります。

定期監督とは

労働基準監督署は、管轄内の会社を巡回して法令の順守状況を調査しています。これを定期監督と言います。定期監督の対象会社の選定は労働基準監督署に任されていますが、すべての会社を対象にするには監督官の数が足りません。そのため年度の業務計画をもとに、違反のありそうな会社を、①36協定の不提出会社、②36協定で1ヶ月間の時間外労働を80時間以上としている会社、③過労死等の労働災害の発生のあった会社、④労働者やその家族からの違反事実の情報提供等を受けた会社等のデータをもとに総合的に判断し選定します。

申告監督とは

労働基準法第104条に、「違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。」とあります。「違反する事実がある場合」とありますが、違反事実がないことが明らかなとき以外、申告は受理されます。例えば、「時間外手当が支払われていない」と労働者が訴えると、タイムカード等の労働時間を示す書類が手元になくても申告は受理されます。また、労働者となっていますが、退職した元労働者も申告することができます。申告は、元労働者からなされる方が圧倒的に多いでしょう。

申告をもとに労働基準監督官は、会社を調査し、労働基準法等の法令の違反事実が確認できると是正勧告書により期日までの是正を促し、是正報告書の提出を求めます。

まとめ

労働基準監督署の監督調査は会社の規模や業種を問わず、いつ入ってもおかしくありません。調査する内容により、提示を求める書類は異なりますが、①労働者名簿、②雇用条件通知書または雇用契約書、③就業規則(労働者が10名以上)、④賃金台帳、⑤出勤簿は定番です。①から④までは、労働基準法に作成が義務付けされている書類です。⑤の出勤簿は作成を義務付ける規定はありませんが、会社には労働時間を管理する責任がありますので、何らかの記録がないと責任を果たすことができません。

監督調査対策のためだけでなく、適正な労務管理のためにも、上記①~⑤の書類は確実に整備しておくことが必要です。

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