口頭での解雇通告

2020年7月

Q: 口頭で解雇を申し渡し社会保険と雇用保険の喪失手続きをしたところ、解雇通知を書面でしていないのは「違法だ」と言われました。違法でしょうか。

A: 口頭での解雇通知は違法ではありません。

解雇に関わる法律は主に次の3法です。

(1)民法(第627条)
民法では雇用契約は何時でも解約ができることを前提に予告期間を規定しています。会社側からの雇用契約の解約がすなわち解雇です。雇用期間を定めなかったときは原則として申し入れから2週間で自動的に解約が成立します。月給制のように給与算定期間を定めて給与を支払うときは次の給与算定期間以降に解約できます。ただし解約日の15日前までに申し入れなければなりません。いずれにしても書面で申し入れる規定はありません。

(2)労働基準法(第20条)
労働基準法も民法と同様に雇用期間を定めのないときは何時でも解約ができます。ただし社員の保護のために予告期間を30日間とし30日間に満たないときは不足日数分の解雇予告手当を支払うよう規定しています。ここでも書面による申し入れは規定していません。

(3)労働契約法(第16条)
労働契約法では上の2法と違って何時でも解約できるとはしておりません。「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と、場合によっては解雇権を制限しています。しかし、ここでも書面で通知することを条件とはしておりません。

解雇は会社の意思が社員に達するだけで良く書面で通知する規定はありません。ただし誤解やわだかまりから生じる無用なトラブルを避けるために解雇通知日、解雇日、解雇理由等を記載した書面を交付する方が良いでしょう。トラブルが大きくなると裁判に発展します。裁判では書面がないと解雇の有効無効を判断する前に、解雇の事実確認ができない恐れもありえます。やはり解雇通知は書面で行うことが無難です。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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