通勤手当

Q:  中途採用した社員から、通勤費を支給しないことは違法だと言われました。当社では今まで通勤費を支給しない代わりに給与をそれだけ多く支払って来た積りです。支払わなければ違法でしょうか。

A:  通勤費を支給する約束がなければ、支給しないでも違法になりません。

通勤費の支払い規定は労働基準法にはありません。そこで、通勤費に関しては民法の第485条の費用の弁済の規定、「弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。」から従業員が負担するものと解釈されています。ここで言う、「弁済」とは、給与を受け取ることに対しての「提供する労働」を意味します。通勤費や通勤時の服や靴は、「提供する労働に対する費用」に当たるので、労働者が支払うものと解釈されている訳です。

それでは優秀な社員が集まらない、会社に近い人と遠い人で不公平感があるとの理由で別段の意思表示として、通勤費を就業規則に規定したり、雇用契約書に規定したりする会社は多くあります。そうすると、通勤費は労働基準法で給与と扱われます。給与ですから支払わないと違法となり、労働基準監督署から是正勧告を受けることになります。

御社の場合は。交通費を支払う規定がない訳ですので、通勤費を支払わなくても全く違法ではありません。社員に良く説明して納得させて下さい。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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