Q: 有給休暇を時間単位で取得できる制度を導入しています。社員の中に既に30時間近く取得する者が出てきました。5日分(40時間)を超える時間単位の有給休暇を取得させることは違法でしょうか。
A: 法定の付与日数に関しては5日を超えて時間単位の有給休暇を取得させることはできません。
時間単位の有給休暇は利便性が高く社員にとって有利になる制度です。労働基準法は最低基準を定めているものであり社員に有利に働く制度を奨励しています。
しかしながら時間単位の有給休暇制度の導入に関しては、労使協定が必要であったり、取得日数に上限を設けていたりすることに疑問を持っている方は多くいます。
労働基準法は昭和23年に制定された古い法律です。対象となる労働者の大半が筋肉労働、肉体労働に従事していた時代です。労働時間は週6日48時間でした。
立法者は有給休暇に対して次のように考えているようです。
- 休暇とは午前0時から午後12時までの丸一日労働から解放されるもの
- 疲労は丸1日の休みを取らないと解消されない
この考えのもとに、時間単位の有給休暇のような細切れ休暇では有給休暇本来の目的を達することができない。よって制限が必要としたものと思われます。良し悪しは別として、法定の有給休暇付与日数の中で5日を超える分の時間単位の有給休暇を所得させることは違法になります。
適用されるのはあくまでも労働基準法の基準で付与された有給休暇です。法を上回る日数分については対象外です。
例えば、労働基準法の付与日数が10日の社員に16日の有給休暇を付与している会社では、6日間分は対象外です。5日 + 6日の11日分、所定労働時間が8時間であれば88時間分の時間単位の有給休暇を取得させても違法にはなりません。
時間単位の有給休暇制度を運用してする際には次の点も押さえておく必要があります。
- 時間単位で取得できる日数は次年に繰り越しできない
- 半日有給休暇制度と併用可能で時間単位の残時間数に影響しない
(2021年 6月回答)