11月号 マイナ保険証

2024年11月(第186号)

今月の事務所通信は、今年12月2日からのマイナ保険証に移行し、従来の保険証が発行されなくなることに伴う制度の概要をまとめました。社員の全員がマイナ保険証を使うのであれば大きな問題はありません。しかし、実際にはマイナンバーカードを保有していない等の理由でマイナ保険証を使わない社員がいます。入社時の社会保険の加入申請時にマイナ保険証の有無の確認が必要ですし、離職時等に新制度で発行される資格確認書の回収・返納の作業が発生します。本人だけでなく被扶養者に関しても同様です。管理が面倒になりそうです。
 新しい制度の開始時は何かと混乱しますが、その混乱を最小限にとどめたいものです。

令和6年12月2日以降、現行の健康保険証は廃止され、マイナ保険証に移行します。今回は、移行後の制度をまとめてみました。

暫定期間

12月2日のマイナ保険証への移行後は新たに保険証が発行されることはありません、ただし、現行の保険証は令和7年12月1日までの一年間は従前と同じように使うことができます。また、この間に退職した社員からは従前と同様に保険証を回収して返納します。

マイナ保険証のメリット

マイナ保険証で受診するメリットは次の2点があるとされています。①よりよい医療の受診、②各種手続きの簡便化。

①は本人の同意の下に初めて受診する医療機関でも医療情報や投薬情報が共有されて、重複検査や禁忌薬剤投与のリスクが減少するとされています。②は医療費が高額な場合に事前に申請していた「限度額適用認定証」が不要になることが目に見える大きなメリットです。

会社としては、氏名変更者や退職者から保険証を回収・返納する必要がなくなることがメリットになります。

マイナ保険証のデメリット

カードリーダー未設置やオンライン資格確認システムに対応していない医療機関ではマイナ保険証を利用することができません。停電時やネットワーク障害時にも一時的に利用できなくなります。このため、従前の保険証または「資格情報のお知らせ」を携帯することが勧められています。

マイナンバーカードを紛失すると再発行までに1〜2ヶ月程度の時間を要し、その間はマイナ保険証が利用できません。更にマイナンバーカードには氏名、住所、性別、生年月日、個人番号、顔写真が記載されているため、個人情報の漏洩リスクが従来の保険証よりも高くなります。

資格確認書

社員全員がマイナ保険証を使える訳ではありません。マイナンバーカードを保有していない社員は当然ですが、マイナンバーカードを保有していてもマイナ保険証としての利用の申込みをしていない社員は使うことができません。

マイナ保険証が使えない社員には資格確認書が発行されます。マイナ保険証の利用申し込みをしていない現社員には、令和7年10月頃に自動的に資格確認書が送付される予定です。

問題は、新入社員や被扶養者の追加時です。現行と同じように資格取得届や被扶養者変更届が必要ですが、届の資格確認書発行希望欄にチェックを求められます。チェックがなくてもマイナ保険証がない社員には資格確認書が自動的に発行されますが、30~50日後と遅くなります。スムーズな発行のためには会社は資格確認書の要否を社員から確認して届け出することになります。

資格確認書の有効期間は最大で5年です。退職時には現行の保険証と同様に資格確認書を回収して返納します。

まとめ

いよいよ保険証が廃止され、マイナ保険証に移行します。強制することはできませんが、メリットを説明して多くの社員にマイナ保険証の利用を促進すると事務の軽減につながります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。