1月号 採用面接時のNG質問

2021年 1月(第140号)

  採用面接で応募者の人となりを知るために多くに質問を用意します。しかし質問によっては禁じられている、いわゆるNG質問があります。今回は採用面接時のNG質問をまとめてみます。

法による規制

個々の人を採用するか否かは会社の裁量の範囲ですから法の規制はありません。しかし職業安定法第5条の4「求職者等の個人情報の取扱い」において、労働者の個人情報を収集するには原則的に業務の目的の達成に必要な範囲内でなければならないと規定しています。更に、労働省告示第141号(H11.11.17)では、職務上の特別な必要性が存在すること、その他業務の目的の達成に必要不可欠であって収集目的を示して本人から収集する場合を除いては次の個人情報を収集してはならないとしています。
①人種、民族、社会的身分、本籍、出生地その他の差別の原因となる恐れのある事項、②思想及び信条、③労働組合への加入状況

採用面接の目的

採用選考で大事なことは、自社に合った人材を採用しミスマッチを防ぐことです。このために本人の能力と業務への適性度を適切に評価するために行われるのが採用面接です。本人の責任でない事項や自由であるべき思想や信条を訊くことは採用面接の目的に合っていません。

差別の原因となる事項

本籍や出生地を質問することは、同和関係者や外国人を排除することに繋がります。長年の習慣で何気なく本籍を記載する欄を提出書類に残していたり、出生地を採用面接で質問したりする会社もありますが直ちにやめることです。
親御さんの職業や役職、収入あるいは住んでいる家や資産の多寡も本人の能力・適性とは無関係です。これらを質問することは本人の責任でない事項で採用を判断することに繋がり、会社にマッチした人材を逃すことになります。

思想及び信条

あなたの信条としている言葉は何ですか、神や仏を信じますか、今の社会をどう思いますか、尊敬する人物は誰ですか、どんな本を愛読していますかなど応募者の人物像を把握するためにしてしまいたくなる質問です。しかし、これらの質問をすることにより、本来しなければならない能力と適性の評価をゆがめる恐れがあり、良い人材を逃すことになりかねません。

既往症・持病

法規制はありませんが、プライバシーに関わる事項なので慎重さが必要です。職業安定法第5条の4の規定に基づき必要な範囲で質問することになります。例えば、自動車運転や危険な機械の操作を業務とするときには、てんかん発作の有無を確認することには合理的があると思われます。

まとめ

最近、工業製品の規格等を作っている「日本規格協会」が、履歴書の様式例から性別や年齢、顔写真欄を取りやめたことが報道され話題になりました。全ての履歴書から直ちに性別や年齢の記載がなくなる訳ではありませんが、これらを採用判定に用いることは優秀な人材を逃すことに繋がり避けなければなりません。
人材は会社の要です。良い人材を採用するために、採用面接を含めて能力と適性を正当に評価した選考方法の確立が求められます。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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