リフェラル採用

平成31年 1月(第116号)

有効求人倍率が年々向上し、採用難の時代が続きます。そのような中で、リフェラル採用が注目さえています。今回は、リフェラル採用の概要、メリット、デメリット等をまとめてみました。

リフェラル採用とは 

リファラル採用とは、社員から友人や知人を紹介してもらい、採用選考を行う手法です。従来の縁故採用やコネ採用が、社内外の影響力を持った人からの紹介であるのに対し、リフェラル採用は社員のだれもが紹介できる制度です。

メリット 

社員がよく知る友人や知人ですから、採用選考時に、その者の性格や能力をある程度は把握することが出来ます。そのため、ミスマッチや短期離職を回避する可能性が高まります。また、会社の業務や社風をよく知る社員の紹介ですから、会社が必要とする能力を持った人材であることが期待できます。
採用される側としても、応募する会社の内容を事前に詳しく知ることができ、入社後も知人がいることでの安心感から定着率が高まります。

デメリット 

リファラル採用は人間関係での採用ですから、入社後も関係性が継続します。紹介者と会社、新入社員と会社、紹介者と新入社員の関係が一つでも悪化すると、全ての関係が悪化する危険があります。例えば、紹介者の勤務評価が悪くなっても、それが新入社員に影響して、会社へのロイヤルティが低下することが起きます。
また、紹介者は自分と気の合う者を紹介する傾向が強いために、レフェラル紹介で入社する者が増えると、社員全体が同じような性格の者たちで占められるようになる可能性があります。これは、よい面もありますが、多様性が失われて、活気が低下する原因にもなります。さらに、紹介者と新入社員が特異なグループを形成することも懸念されます。

法令上の問題 

紹介者に報酬を与えるときに注意すべきことがあります。職業安定法では、労働者の募集を行う者に対して報酬を与えることは原則禁止です。ただし、自社の社員が紹介し、会社がその紹介者に給与その他これらに準じるものを支払うことは例外的に認められています。
もし、報酬を支払うのであれば、就業規則や賃金規程に、賃金で支払うことを規定しておくことが必要です。更に、「人材紹介業としての生業」に該当するような高額な報酬は、法違反に問われる危険があります。

まとめ 

リファラル採用はメリット、デメリットを正しく知って行えば、採用手段の一つとして魅力のある制度です。とは言っても、制度を整備し社員に紹介を依頼するにしても、初めは大きな期待を掛けないことが肝要です。「いい人がいたら紹介してね」、「採用出来たらラッキー」ぐらいの軽い気持ちで採用の門戸を開いておくのが良いでしょう。
最も大切なのは、今いる社員に対して自社の魅力を高める努力を継続することです。自分の友人や知人の一生を託するに値する会社であると社員が納得して初めて、リファラル採用は機能することになります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。