通勤手当

Q:  元社員から、通勤に使った新幹線定期代の差額80万円強の支払いを求める書状が届きました。その社員が、入社後に本庄市に転居したことは知っていましたが、新幹線を利用していることは知りませんでした。当社の就業規則では、通勤手当は実費を支払う規定になっていますが、新幹線定期代を想定しておりませんでした。支払いは必要でしょうか。   

A:  実費を支払うとなっている以上、新幹線定期を買っているならば支払いを免れることは難しいと言えます。

民法の規定では、通勤費等の勤務のために必要な費用は社員持ちが原則です。通勤に使う衣服や靴と同じ扱いです。しかし、それでは良い人材が採用できない、必要経費の多寡を調整する必要がある等によりは通勤手当を支給している会社が多いのは事実です。法律で支払いを規定されている手当でありませんので、どのようなときに、どれくらい支払うかは会社の規則に任されています。

御社では、就業規則に通勤費は実費を支払うと規定していますので、就業規則の法規範として、これが雇用条件になります。もともと、任意の通勤手当ではありますが、就業規則に規定した段階で支払いが義務となります。労働基準法では、賃金として扱われます。ですから、支払わないと労働基準監督署から賃金不払いとして、行政指導を受ける可能性があります。

今回の支払い請求に対する対処法ですが、就業規則には実費支払いとしているのですから、まず新幹線定期を買ったことを確かめてみては如何でしょうか。新幹線定期を買ったことを証する書類が提出されなければ、買ったかどうか分かりませんので支払いは不要です。反対に、新幹線定期を買ったことを証する書類が提出されれば、時効が成立していない2年以内の新幹線代差額は支払わなければならないでしょう。

今後、このような請求を防ぐためには、通勤手当の規定を単に御社の考える規定に変更しておけばよいのです。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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