4月号 人事考課

2015年 4月(第71号)

大きな会社では、人事制度の一環として当たり前に行われている人事考課が、中小規模の会社では未だそれほど多くは行われていません。今回は、人事考課の目的、導入に当たっての準備、方法等を中心に考えてみます。

人事考課とは

人事考課と言うと、社員を評価することと捉え、人が人を評価することは不可能、だから人事考課は難しいと考えている経営者がいます。これは間違いです。人事考課とは、「社員の一人ひとりへの会社の期待に対して、社員の行動実績を評価するもの」です。決して人を評価するものではありません。間違えても、その社員の気質や性格等の個人属性を評価してはいけません。
人事考課の目的は、会社の期待に対して社員に行動とのズレを問題点として気付きを与え、社員自らに修正を図らせることです。

人事考課の準備

人事考課とは、会社の期待に対して、社員の行動実績を評価するものと上に書きました。人事考課を行うためには、会社の期待を正しく伝えることが何よりも大切です。伝える方法は色々あります。会社理念に謳うことや行動規範を制定することも良い方法です。毎日の朝礼で会社理念を全員で唱える会社、小冊子を配布して研修を行っている会社があります。
いづれにしても、どの行動を会社が期待し、本人の評価につながるかを正しく伝えておくことです。人事考課項目は、会社が期待に対しての社員の行動実績が正確に評価できるように作成することになります。

人事考課の方法

人事考課を実施するためには、考課期間と考課対象を特定します。考課期間は、○月○日から1年間あるいは6ヶ月間と制度として決めます。3年も5年も前のことを持ちだされて評価の対象とされては、社員は不安になります。考課対象は、職務に関係する行動実績だけとします。プライベートやリクリエーションの時間での行動を対象にすることはできません。更に、職務に関係する行動およびその結果の中で、何を対象とするかも明確にしておきます。業績なのか、意欲なのか、能力なのか、業績と言っても、売上高なのか、業務の遂行方法なのかを会社の期待に沿って具体的に設定して、これらを公開しておきます。
人事考課の目的は社員本人に問題点を気付かせ、社員自らに修正を図らせることですので、初めに自己評価をさせ、それに基づいて社長や上司が面談を行うことが効果的です。

人事考課の活用

人事考課によって、本人に問題点を気付きを与えることができれば、人事考課の目的の大半は達成できたことになります。問題点に気付けば、その後はそれをどのように是正するかを考え、実施するだけのことです。
人事考課を昇給や賞与、昇格に活用することはもちろんあります。それは大半が上の目的を後押しするためです。昇給や賞与、昇格のためにだけ人事考課を使うようであれば、実にもったいないことと言えます。

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