懲戒解雇

Q: 社員の一人が店の客の面前でもう一人の社員と取っ組み合いのケンカをしましました。会社の信用を大きく棄損したので懲戒解雇としたいのですが、助成金の申請に支障がありますか。

A: 助成金の申請への支障は完全には否定できません。それよりも懲戒解雇の是非を争われたときの方がより深刻です。

雇用保険では本人責任による解雇は重責解雇として会社都合の退職と区別しています。この際に、懲戒解雇がすべて重責解雇となる訳ではありません。懲戒事由は会社が自由に決めることができるからです。
そこでハローワークでは、重責解雇の要件を独自に次のように定めています。

  1.  刑法の規定違反
  2.  故意または重過失による設備や器具の破損
  3.  事業所の信用失墜
  4.  重大な就業規則違反、等

今回の事案は「事業所の信用失墜」として重責解雇になる可能性があります。とはいえ、懲戒解雇は避ける方が賢明です。懲戒解雇をハローワークは認めても、裁判所に認めさせることが難しいからです。

その社員を残すことが会社にとって重大なリスクを抱えることであれば、排除しなければなりません。排除の方法としては、普通解雇や自らが退職を選択するように仕向ける退職勧奨がよく用いられます。どちらも会社都合の退職として助成金の種類に依っては申請が制限されることがあります。

しかし、重大なリスクを抱えることと助成金の申請制限を比べたら、後者を犠牲にしても重大なリスクを取り除くことを優先すべきと思料します。

(2022年 7月 回答)

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。