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濃厚接触者

新型コロナウイルスの変異株オミクロンの感染拡大が続いています。一時期の鎮静状態から一気に感染爆発の状態に突入した感じです。正月前後から増加し始めていたのが成人式では随分と人出が増えたために心配していたところですが、心配が的中してしましました。

顧客の担当者から、こんな相談を受けました。

パート社員の娘さんが成人式に出席後に飲み会に参加して新型コロナに感染しました。パート社員は濃厚接触者としてPCR検査を受けたところ幸いにも陰性でした。ただし、保健所から10日間は外出禁止を指示されました。そのため、24日までは会社に来ません。

会社としては、感染防止の観点から25日以降も陰性が確認できない間は出勤を止める積りです。陰性確認のために保健所に検査を依頼したところ、検査は自費で行って欲しいと言われたようです。抗原検査キットは今では全く手に入らないで会社としても困っているようです。

相談は、つぎの2つです。

  • 自費で行う検査は会社が負担しなければならないのでしょうか。
  • 休んでいる間の給与は支払わなければならないでしょうか。

微妙な問題ですが、当方の見解を次のように伝えました。

(1)検査費用の負担

会社が検査を求めている以上、自費で検査を行う検査は会社負担となる。

(2)休業中の給与

保健所から指示された10日間の外出禁止指示は命令ではなく単なる協力要請です。パート社員が協力要請に反して出勤したいと主張し、これに対して会社が休むように命令したならば、休業手当が発生します。パート社員が指示に従って会社を休んでいるのであれば欠勤扱いになります。

外出禁止期間が明けた25日以降も陰性が証明されない間は出勤を止めた場合、これは休業手当が発生します。

アメリカをはじめ諸外国ではPCR検査は希望者が無料で受けられると聞いています。残念ながら我が国はPCR検査に関して2年前から相変わらずに後進国のままであると言わざるを得ません。

高額医療費

入退院を繰り返している顧問先の社員の高額医療費支給申請書を提出しました。手術を前にして限度額適用の申請をすることはよく知られるようになった制度です。しかし、限度額としてカウントされるのは一ヶ月に同一の医療機関に対して支払った医療費だけです。同じ月に複数の病院や、入院と通院とは合算されないので1ヶ月の支払いが限度額を超えてしまうこともありえます。そのようなときは改めて高額医療費支給申請書を提出することにより、限度額を超えた支払いの一部が戻ってくるのが高額医療費支給申請制度です。

今回、行った方は70歳を超えていましたので、一ヶ月に支払った医療費を全て合算して限度額を超えた金額が戻ることになります。70歳未満では、21,000円以上の支払いを合算して限度額を超えた金額が戻ってきます。被扶養者も医療費を支払っているときは、それも合算できます。

加えて1年間で3回以上限度額に達したときは4回目からは多数該当となり、更に戻る金額が増える仕組みがあります。

これらは全て申請して初めて受けられる制度です。制度を知らなければ恩恵を受けることはできません。

協会けんぽや健康保険組合は、誰が、いつ、どれほどの医療費を支払っているかを全て把握しています。申請をしなくても支給を受けられる仕組みにできるはずですが、何故かそのようになっていません。

現在、マイナンバーカードの普及率を上げるために、何やらお金のバラマキを始めようとしています。お金で釣ってマイナンバーカードを普及させるよりも高額医療費支給申請のような煩雑な手続きなしで、あるいは制度のことを知らない人でも制度の恩恵を受けられるようにする方が効果的ではと思うことしきりです。

コロナウイルス感染防止対策

4月7日の新型コロナウイルスの感染拡大防止ための緊急事態宣言を受けて、宣言期間中は、

  • うつらない
  • うつさない

のために、顧客会社さんへの不急の往訪を原則として中止致すことにしました。
しかし、押印等が必要な書類で提出期限が迫ったときはどうしても往訪しなければなりません。そのときは、書類の受け渡しだけの短時間の往訪に限り行うことにしました。

障害等級の変更

障害者の方から電話がありました。障害年金の仕事を表に出していない当事務所にどうして掛けてきたのか分かりませんでしたが、話を聞きました。1級の障害者手帳を持っているのに、障害等級は2級のままなので、何とかして欲しいというものでした。

そこで、障害者手帳の等級と障害年金の等級では基準が違うのでリンクしていないことを説明しました。

すると早く手続するように区役所の担当者から言われていると言うのです。お医者さんからもと言います。

そこで、もう少し詳しく話を聞いてみると、2級の認定を受けたのは昨年の秋で、その後症状が重くなったらしいのです。

初めは、認定された等級に不満で再審査請求の話かと想像していましたが、変更申請の様です。前者は行政が認定を間違えたことを立証しなければならないので困難な作業になりますが、その前に申請期限の壁があります。後者は原則1年を経過していれば症状が重くなった旨の診断書を付ければ申請できます。

「区役所の担当者から」が気になって担当者名を教えてもらい、区役所に確認の電話を入れました。

担当の方は、社会保険労務士からの問い合せに、「あなたが手続きをするのですか、区役所には専門の支援チームもあります」と不思議そうでした。

当方は、普通は個人の方と契約をすることはないこと、今回は相談を受けたので問い合わせをしているだけで行政の方が支援して頂けるのであれば是非お願いしたいと伝えて電話を切りました。

行政への不満をよく耳のする昨今ですが、「良くやってくれているじゃない」、と嬉しくなる経験でした。

事実婚者の扶養届

事実婚者も国民年金保険の第3号被保険者や健康保険の被扶養者になれることは知識としてはありましたが、実際に手続きしたことはありませんでした。今回、社会保険労務士になって10年になりますが初めてその機会がありました。

色々な生き方があります。結婚しても姓を変えたくないこともその一つの選択肢です。これに対して法律的では夫婦同姓を定めていますので別姓を選ぶ場合は、法律上の結婚はできません。結婚しようとすると姓を変えるか、事実婚を選択するしかありません。

同性婚さえも認めている国が多くあります。アメリカでは大統領選で同性婚を公表しているピート・ブティジェッジ氏が有力な候補者として存在感を高めているとの報道もあります。

今回の手続きを通じて、同性婚は論外、夫婦別姓も認めていない我が国のありようを考えさせられた次第です。

AWSサーバーの障害

一昨日(8月23日)13時ごろにAWSサーバー(アマゾン・ウェブ・サービス)に障害が発生したとのニュースがあった。なんでも、冷却装置が故障し、オーバーヒートを起こしたためにサーバーが止まったとのこと。この影響でスマホゲームやSNS、PayPayなど各種サービスで接続障害が発生した。ニュースでは冷却装置は3時過ぎに復旧、夕方までにほぼすべてのストレージとインスタンスが復旧したという。さらに、障害の残っていたクラウドデータベースについても、8時過ぎには大方の接続障害について復旧を完了したとされ、一見落着したと思っていた。大規模な障害とは認識していたが、遠い世界の話でまさか影響があるとは考えてもいなかった。

事務所では、電子申請用にクラウド型のサービスを利用している。確かに、「AWSサーバーで発生している障害の影響により、一部の機能にアクセスできない状態となっております。」との連絡は受けていたが、データを入力することができたので、深刻に考えていなかった。さて、障害発生から2日以上経った今日(25日)、障害のことをすっかり忘れていた。ところが、顧客から依頼があった届け出書を作成し、電子申請をしようとしたら、なんとエラー!。影響は、2日経っても続いていたのだ。

クラウドサービスという、ハイテクの象徴みたいなサービスが、冷却装置というとてもハイテクとは言えない、むしろローテク装置の故障で、機能しなくなる。この皮肉な現実が、現代から将来の社会の脆弱性を現わしているようであった。

賞与の税金

顧問先の社長さんから、「今期は業績が非常に好調で、唯一のスタッフであるAさんの賞与を、事業立ち上げより常に先頭で頑張ってくれた部分を労う意味合いで額面〇〇〇万円でシミュレーションしてみたく思います。」と連絡があった。この金額は、いつもの賞与額のうん倍もあり、大企業でも簡単に支給されない額でしたので、ちょっと驚きました。とは言え、社会保険労務士として、このようなお話はうれしいものです。

雇用保険料、社会保険料と源泉税額を計算して提示すると、源泉税額の高さに当惑したようでした。源泉税は、一回の賞与で支払うので高く感じるが、分割で支払っても年間の税額は変わらないこと、年末調整で還付されることを伝えると、還付金額をシミュレーションして欲しいと依頼された。当方は、給与計算も年末調整も業務として行っていないので、困ったことになったと思いつつも、これも勉強と気を取り直して引き受けた。

早速、税務署から来ていた小冊子をひっくり返したり、ネットで調べたりして、3つのケースの支給額ごとに還付額を計算して提示した。社長からは、直ぐに一番高い金額に決定したとの返事を受けた。

このような社員想いの会社の益々の発展を願わずにはいられません。久々に「満たされた仕事をした」思いに浸りました。

動態保存

(株)三和タジマの埼玉工場に行ってきました。埼玉社会保険労務士会の安全衛生部会が企画した催しで、安全に対する感性の醸成を目的としていました。(株)三和タジマは、平成16年3月26日の六本木ヒルズで6歳の男子が挟まれて死亡した事故の自動回転ドアを作成した会社です。このような事故を2度と起こしてはならないと、会社は事故の回転ドアを動く状態で埼玉工場内に保存しています。これを動態保存と言うようです。

どのような事故であれ、事件であれ時が経つにつれ記憶は薄れ、やがて忘れ去られていきます。永遠に記憶に留めておくことはできませんが、忘れ去ることを遅らせることはできます。同社では、3月26日を「安全を誓う日」と定めて、この日には動態保存している回転ドアの前で誓いの言葉を唱和していると言います。また、この日には、施主である六本木ヒルズの森ビル関係者も参列し、安全を誓っていると聞きました。

動態保存は勇気ある行為です。一般に事故を起こした関係者は一刻も早く証拠を消し去ろうとするのが心情です。東日本大震災で被害を受けたところでも、復興の名のもとに多くの爪痕が奇麗にされました。福島原発もできるならば今すぐにでも消し去りたい面々がいるでしょう。そのような中で、これを動態保存した(株)三和タジマと現物を提供した森ビル関係者の行為に深い感銘を覚えながら会社を後にしました。

個人との契約

社会保険労務士は、主として会社と顧問契約を締結することが多く、弊事務所では今まで個人と契約するケースはありませんでした。

先日、顧問先の会社を休業期間満了で退職した方がいました。傷病手当金の受給期間が残っているので、その手続きのために初めて個人の方との契約を結びました。個人の方、それも傷病手当金を受給するための契約ですから、多額の料金を頂くことは憚られました。とはいっても無料という訳にもいかず、月極料金を頂くことにしました。

当方としては、料金をずいぶん控えめにした積りですが、支払う方としては如何だったであろうか。複雑な気持ちです。

ネット銀行

社会保険労務士に長らく携わっていても、「初めて」のケースが多々あるものです。

先日、高年齢者雇用継続給付支給申請の初回手続きを行いました。この手続きには給付金の振込先金融機関の口座を記載するのですが、申請はこれにネット銀行を指定してきました。当方もネットバンキングを利用していますのでネット銀行にそれほどの違和感がありませんでした。ハローワークでは「銀行は登録されているが、支店番号を入力すると表示されない」と何回も確認しておりました。なんでも給付金は日本銀行の代理店を通じて振り込むとのこと。指定されたネット銀行はこれに対応していないので、実店舗のある銀行口座を再指定して欲しいと書類を返戻されました。

ネット社会は身近にも急速に浸透していますが、政府の制度がそれに追い付かない一例のようでした。