有所見者に対する医師の意見聴取

Q: 会社の労務担当です。埼玉産業保健総合支援センターから健康診断の有所見の社員については医師から就業に関する意見を聞くことが義務づけられていると指摘されました。弊社では、有所見社員は各々、管理栄養士の指導を受けています。上記の指導では不十分で、医師の意見を聞かないといけないのでしょうか。

A: 健康診断で異常所見があった労働者に対する医師の意見聴取は、労働安全衛生法第66条の4により社員数に関係なく義務づけられています。

貴社は、本社、工場ともに社員数が50名未満と認識しています。そうすると、産業医の選任が必要な事業所ではないので、産業医の代わりに地域産業保健センターの医師を利用することができます。あるいは医療機関の医師に意見聴取を依頼することになります。

医師の意見聴取を実施した後には、労働基準監督署などへの届出は特に必要ありません。聴取した医師の意見を健康診断個人票に記載し、事業所で適切に保管することになります。

管理栄養士の栄養指導は医師の意見に基づく就業措置後の補助的措置として位置づけられます。医師が「食事指導が必要」と判断した場合、管理栄養士の指導を組み合わせることは有効ですが、医師意見聴取が前提です。

☆ 労働基準監督署に提出した健康診断結果が自動的に埼玉産業保健総合支援センターへ渡る仕組みにはありません。今回の総合支援センターからの連絡の経緯はわかりません。単に、全事業場に注意喚起のために送ってきたものか、あるいは健康保険組合から総合支援センターに情報提供されたかも知れません。いずれにしても、有所見者がいた場合には労働安全衛生法で定められている「医師の意見徴収」を求め、必要に応じての就業環境の改善につなげることになります。

(2025年 7月)

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