Q:退職する社員より、退職の証明書を退職日前に発行してもらえないかと相談を受けています。退職予定証明書を発行してもよろしいでしょうか。
A:事実を記載するならば、退職予定証明書を発行しても問題になりません。
退職予定証明書は労働基準法上の義務ではありません。
退職予定者が必要な場合には事実ベースで発行することでよいと思います。法的なものでないので、退職予定者が希望する項目で事実に反していない事柄を記載することで済みます。
当然ながら、退職届は取っておいてください。
余談ですが、退職前後で会社に交付が義務付けされている証明書には次の2種類があります。
(1)退職証明書
退職の際に使用期間、地位、賃金または退職事由に関して証明書を請求されたときは、会社はこれを遅滞なく交付しなければなりません。交付するのは退職後です。
(2)解雇理由証明書
解雇予告をした場合には、請求があれば退職日前においても解雇の理由に関して証明書を交付しなければなりません。理由に関しては具体的に示す必要があります。就業規則の条項に該当する場合にも、単に「就業規則違反により」ではなく、当該条項の内容及び該当するに至った事実関係を証明書に記載することになります。
なお、退職証明書の退職事由とは、自己都合退職、勧奨退職、解雇、定年退職等の社員が身分を失った事由のことです。解雇の場合には、その理由も「退職の事由」に含まれます。
(2025年10月)