2026年4月(第203号)
今月の事務所通信では、近年注目が高まっている「リスキリング(学び直し)」を取り上げました。生成AIの普及や業務のデジタル化が進む中で、社員のスキル向上は会社の競争力に直結する重要なテーマとなっています。概要、導入の手順、会社内での支援体制に加え、国・公的機関による支援制度や活用しやすい助成金についても整理しております。自社での導入を検討される際の参考としていただければ幸いです。
2026年4月1日から高年齢労働者の労災防止措置が労働安全衛生法第62条の2で努力義務とされました。今回は2月10日に告示された「高年齢者の労働災害防止のための指針」に沿って高年齢者の労災防止対策を紹介します。
指針の目的
高年齢者の就業が増える中、転倒・腰痛・熱中症などの労働災害は年齢とともに増加する傾向があります。「高年齢者の労働災害防止のための指針」は、こうした状況を踏まえ、高年齢者の心身機能の変化に配慮した安全衛生対策を会社の努力義務として明確化したものです。
筋力・バランス能力・視力・認知機能などの低下を前提に、職場環境、作業方法、健康管理、教育などを総合的に見直し、高年齢者が安心して働き続けられる職場づくりを目的としています。
中小の会社がまず取り組むべき事項
次の3点が「最初の一歩」として有効です。
(1)転倒リスクの重点対策
通路の段差解消、滑り止めマットの設置
倉庫・作業場の照度改善
通路の整理整頓(置きっぱなし物品の排除)
⇒ 費用対効果が高く、即効性がある
(2)高年齢者向けリスクアセスメントの実施
「転倒」「腰痛」「熱中症」など高年齢者に多い災害を重点評価する
作業姿勢・重量物の扱い・動線の見直し
⇒ 現場の危険の“見える化”で改善につなげる
(3)健康・体力に応じた作業配置の見直し
重作業を複数人の作業に変更
休憩時間の確保
無理のない作業ローテーション
⇒ 無理をさせない仕組み作りが労災防止の核心
労働者が体力等の衰えを認識するための方策
高年齢者自身が「自分の体力の変化」を理解することは、事故防止に非常に効果的です。会社が導入しやすい方法を紹介します。
(1)簡易体力テストの実施(年1回)
握力、片足立ちバランス、歩行速度、立ち上がり動作等 ⇒ 5〜10分で実施可能。衰えの“気づき”につながる
(2)健康診断結果のフィードバック面談
産業医・保健師による短時間面談、血圧・血糖・体重変化の確認 ⇒ 「無理をしない働き方」を本人と共有できる
(3)転倒防止のためのセルフチェック
歩行時のふらつき、階段昇降の負担感、つまずきやすさ ⇒ 簡単なチェックリストで日常的に体力を確認できる
(4)安全行動教育
正しい歩行姿勢、荷物の持ち上げ方、作業前のストレッチ ⇒ 行動の改善により事故の大幅減につなげられる
まとめ
会社がまず取り組むべき事項や体力等の衰えを認識するための方策に記載したことの具体策は、厚生労働省その他からインターネット上に無料で入手することができます。手軽に取り組める方策を探して、まずは小さく始めて見ることをお勧めします。そこから、会社全体で継続的に改善を進めることにより、高齢者を含めて、会社全体の安全で持続可能な職場づくりが始まります。