2026年6月(第205号)
今月の事務所通信では、近年注目が高まっている「リスキリング(学び直し)」を取り上げました。生成AIの普及や業務のデジタル化が進む中で、社員のスキル向上は会社の競争力に直結する重要なテーマとなっています。概要、導入の手順、会社内での支援体制に加え、国・公的機関による支援制度や活用しやすい助成金についても整理しております。自社での導入を検討される際の参考としていただければ幸いです。
近年の生成AIの普及やビジネス環境の変化で社員のリスキリングが求められています。今回は、リスキリングの概要、導入の手順、公的機関の支援体制等を紹介します。
リスキリングとは
近年、デジタル化の加速やビジネス環境の変化により、社員のスキルを継続的に高める仕組みが求められています。特に、生成AIの飛躍的な進歩や業務プロセスの自動化が進む中で、従来の経験だけでは対応が難しい場面も増えており、「リスキリング(学び直し)」は会社の競争力を左右する重要なテーマとなっています。政府も成長戦略の柱として位置づけ、会社による人材育成を強く後押ししています。
導入の手順
リスキリング導入の第一歩は、「どの業務をどのように変えたいのか」を明確にすることです。単に研修を受けさせるのではなく、業務改革やデジタル化の方向性を踏まえ、必要となるスキルを洗い出すことです。その上で、対象者の選定、学習内容の設計、学習時間の確保といった具体的な計画に落とし込んでいきます。特に中小会社では、日常業務と学習の両立が課題となりやすいため、短時間で学べるオンライン講座の活用や、業務に直結するテーマの選定が効果的です。
会社の支援体制
導入後の支援としては、学習の進捗管理や、学んだ内容を実務に活かすためのフォローが欠かせません。
- OJTと組み合わせる
- 社内で小さなプロジェクトを立ち上げる
- 学習成果を共有する場を設ける
など、学びを定着させる工夫が求められます。また、管理職がリスキリングの意義を理解し、部下の学習を後押しすることも成功の鍵となります。
国・公的機関等の支援体制
リスキリングを進める会社向けに、次のようなさまざまな支援が用意されています。
- 経済産業省では「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を実施し、デジタル・AI・データ分析などの講座を無料または低額で提供しています。
- 厚生労働省の「キャリア形成サポートセンター」では、専門家が会社の人材育成計画づくりを無料で支援し、社員のスキル棚卸しに使えるジョブ・カード制度も活用できます。
- IPA(情報処理推進機構)はDX人材育成の教材やスキル標準を公開しており、研修設計の基準として利用できます。
- 自治体でも無料のデジタル講座や中小会社向けの研修支援を行っており、実務的で利用しやすい体制が整っています。
助成金
リスキリングに取り組む会社を支援するため、国の助成金・補助金も利用できます。代表的なものとして「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」があり、デジタルスキル習得や業務転換に向けた訓練に対して、訓練経費や賃金の一部が助成されます。その他、IT導入補助金や事業再構築補助金など、業務改革と併せて活用できる制度もあります。
まとめ
リスキリングは単なる教育施策ではなく、会社の成長戦略そのものです。自社の未来を見据えて計画的な人材育成に取り組むことが、持続的な競争力の強化につながります。